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2009.03/03 [Tue]
タイマグラ(太麻座) の俳句
「マサヨばあちゃんは、おじいさんの大好きな豆腐を作って、毎日おじいさんに食べさせつづけました」。
これは昔噺ではなく、つい数年前、テレビ番組の”新日本紀行”で放映された話の一部で、場所は岩手県川井村タイマグラ、マサヨばあちゃん物語りであり、アイヌ語と言われるタイマグラはれっきとした現存の日本の地名である。
盛岡朝九時出発、曲がりくねった、簗川沿いの道を約一時間、千四百メートルの兜明神岳の麓から今度は閉伊川に沿って、延々と下り、その道を外れて薬師川を遡り、太麻座橋を渡って着いたのが昼の十二時。車を降りて道のあるようなないような山坂を百メートル程進んだ所に、マサヨばあちゃんの家はあった。
北上山系のどまん中の襞のひとつに、ひっそりと立つ平屋の一軒家、勿論いまは無人だが、誰かがすぐにでも住めそうにきっちりとした外観を保っている。家の前に二階建てのもう一棟、これは蚕飼いの為の建物らしい。
裏の畑は一反歩ほど、荒れたままだ。バァちゃんが豆を蒔いた跡だろうか。 一画 の一坪ほどが耕され何かの芽が出ている。四角に笹竹が四本、縄をめぐらした所々に黒い布紐が吊られて揺れている。
まわりの林には山桑が何本も茂り、足元には山菜のぼう菜、蕗、蕨等 沢山、野茨の花、鳥足升麻、えぞあぢさゐの花などが咲き乱れる。
聞こえるのはこぼれ鳴きのうぐひす、なきどもるえぞ春蝉、そして薬師川のせせらぎと風音ばかり、あとは何の音もしない神秘なタイマグラ。
夏至の太陽が照りつける割には裏早池峰の雪渓の風が降りて涼しすぎる位だ。
句・文集 幻 より 啓子
大正11年生まれ、昭和45年夏草入会、昭和56年樹氷賞、同人、昭和57年夏草新人賞、夏草同人、昭和58年俳人協会会員、屋根同人、
屋根功労賞、青邨祭賞、県芸術祭賞、芭蕉祭賞 その他
句集 里唄 他
タイマグラとは森の奥へ続く道 という 日本で電気が一番遅く着いたという (タイマグラ は ネットで記事が一杯でてきます)
タイマグラへの吟行の際聞いた話で 庭に出て干し物を取り込もうとしたら 熊と物干し竿越しに 目があった。 死んだまねをしようか、はたまた と思案したが しばらくにらみ合った後で、その人は両手をパチンと叩いたそうだ、そしたら熊はクルっと後ろを向いて行ってしまった とか・・・
川なりに 閉伊街道 草いきれ
雪渓の 裏早池峰は 雲に立つ
えぞあぢさゐ 楚々とこれより タイマグラ
啓子
これは昔噺ではなく、つい数年前、テレビ番組の”新日本紀行”で放映された話の一部で、場所は岩手県川井村タイマグラ、マサヨばあちゃん物語りであり、アイヌ語と言われるタイマグラはれっきとした現存の日本の地名である。
盛岡朝九時出発、曲がりくねった、簗川沿いの道を約一時間、千四百メートルの兜明神岳の麓から今度は閉伊川に沿って、延々と下り、その道を外れて薬師川を遡り、太麻座橋を渡って着いたのが昼の十二時。車を降りて道のあるようなないような山坂を百メートル程進んだ所に、マサヨばあちゃんの家はあった。
北上山系のどまん中の襞のひとつに、ひっそりと立つ平屋の一軒家、勿論いまは無人だが、誰かがすぐにでも住めそうにきっちりとした外観を保っている。家の前に二階建てのもう一棟、これは蚕飼いの為の建物らしい。
裏の畑は一反歩ほど、荒れたままだ。バァちゃんが豆を蒔いた跡だろうか。 一画 の一坪ほどが耕され何かの芽が出ている。四角に笹竹が四本、縄をめぐらした所々に黒い布紐が吊られて揺れている。
まわりの林には山桑が何本も茂り、足元には山菜のぼう菜、蕗、蕨等 沢山、野茨の花、鳥足升麻、えぞあぢさゐの花などが咲き乱れる。
聞こえるのはこぼれ鳴きのうぐひす、なきどもるえぞ春蝉、そして薬師川のせせらぎと風音ばかり、あとは何の音もしない神秘なタイマグラ。
夏至の太陽が照りつける割には裏早池峰の雪渓の風が降りて涼しすぎる位だ。
句・文集 幻 より 啓子
大正11年生まれ、昭和45年夏草入会、昭和56年樹氷賞、同人、昭和57年夏草新人賞、夏草同人、昭和58年俳人協会会員、屋根同人、
屋根功労賞、青邨祭賞、県芸術祭賞、芭蕉祭賞 その他
句集 里唄 他
タイマグラとは森の奥へ続く道 という 日本で電気が一番遅く着いたという (タイマグラ は ネットで記事が一杯でてきます)
タイマグラへの吟行の際聞いた話で 庭に出て干し物を取り込もうとしたら 熊と物干し竿越しに 目があった。 死んだまねをしようか、はたまた と思案したが しばらくにらみ合った後で、その人は両手をパチンと叩いたそうだ、そしたら熊はクルっと後ろを向いて行ってしまった とか・・・
川なりに 閉伊街道 草いきれ
雪渓の 裏早池峰は 雲に立つ
えぞあぢさゐ 楚々とこれより タイマグラ
啓子
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